補助人工心肺(PCPS)が回ると、切ないことになることが多いよね。ある意味、看護師さんは本当に天使です。
先日の呼び出しで
心臓カテーテルをおこなったのですが、
そのカテーテルは、冠動脈の状態が重症な方だったため
深夜1時過ぎまでかかって治療しました。
IABP(大動脈内バルーンパンピング)も入れまして、
心臓の機能が悪い症例でした。
1-1 IABP療法とは
•IABPとは、intra-aortic balloon pumpingの略で大動脈内バルーンパンピングという。
•バルーンカテーテルを患者の胸部下行大動脈に留置し、心臓の拍動に同期して30~40mlのバルーンを拡張、収縮させる事で心臓の圧補助を行う補助循環装置である。
•心筋への酸素供給を増加させ、心筋の酸素消費量(需要)を減少させる効果がある。
JSEPTIC CE教材シリーズ 大動脈内バルーンポンピングより引用
http://www.jseptic.com/ce_material/update/ce_material_11.pdf
治療後、
マスク型の人工呼吸器をつけていても
身体の酸素が足りず
気管内挿管になりました。
それでも、
状態は良くなりませんでした。
昨日の朝、
補助人工心肺を入れました。
コードブルーとか
医龍とか
ドクターXとか
いろいろドラマに出演しているので
この言葉は、結構みんな知っていると思います。
補助人工心肺って言われても
ピンとこない人も
PCPSっていうと聞いたことがあると思います。
日本ではPCPSって言うこともありますが、
正式にはECMO(エクモ)といいます。
V-V ECMOとV-A ECMOがありますが、
今回は V-A ECMOです。
日本経皮的心肺補助研究会 PCPSの装置より引用
こんなのです。
ECMOとかで検索すれば、結構画像は出てきます。
V-A ECMOは心臓と肺の機能を補助します。
V-V ECMOは肺の機能を補助します。
Vが静脈でAが動脈です。
V-A ECMOは(V)酸素があんまりついていない血液が
酸素をつけた血液になって、身体に返ってくるのですけども
心臓の後に返しているので、
心臓がそんなに動いてなくても
補助人工心肺のポンプで身体に血液を送れます。
この場合は、心臓の動きと呼吸をサポートします。
V-V ECMOは静脈からとって
静脈に返すものです。
酸素があんまりついてないはずの血液が
酸素をつけられた状態で
心臓に返ってきます。
身体に送るのは心臓の役目で
酸素を血液にくっつけるのが
V-V ECMOの役目というイメージです。
この場合は、呼吸の補助って感じで使います。
まあ、普通に暮らしていれば
ぜんぜん知らなくて、いい知識ですけどね。
医療従事者で働いていても、
施設に機械がなければ
関わることはありません。
医療系のドラマをみるのには
役に立つかもしれません。
でも、
いつみても・・・
この機械が動くのは嫌なものです。
V-Vなら呼吸機能を休ませたりする意味で使いますが
今回は、V-Aなので心臓の機能も悪いから使うのです。
ここから、離脱できればいいと思います。
いいと思いますが・・・
大体は、ここから離脱できずに
向こうの世界に旅立っていきます。
この病院の救命率は、PCPSが回ったら
V-Aだと
10人に1人助かるか、助からないかです。
ゼロではないけど、もしかしたら・・・位の確率ですかね。
V-Vだと、それほど重症ではないので
そんなに命は落とさないと思います。
世の中のではなく、私の体感ですけど。
家族が悲しむ様子は、いつみても切ないです。
泣きそうになります。
胸が痛くなります。
自分に当てはめてしまいます。
自分で心臓が動かせない場合
ずっと、補助人工心臓をつけたままに
しておくこともできません。
命をどうするか、という判断が必要な時
医師はある意味、神様みたいなことをしています。
まさに生殺与奪の権限を持っていますよね。
看護師は白衣の天使なんていいますけど、
ある意味、この場合天使です。
優しい、という意味ではなく
白いという意味もなく
ただ・・・ただ、
生死を扱うという意味で。