窃盗が多発、その時、病院がセキュリティ強化のためにとった対策とは。

私が前の病院で働いていた頃、

長身でやや色黒の若い男性が入職してきました。

彼は臨床工学技士だそうです。

私が資格を取って、戻ってきてから

2年ぐらい経ってからの事でした。

彼が言うことは

スケールの大きなことばかりで

年収が自分は1億円あるだとか、

人工心肺をほかの病院に行って

回しているとか・・・。

私は、騙されやすかったので

ついつい信じてしまっていましたが

嘘がバレるにつれて、

疑うようになっていきました。

決定的に嘘だって、思ったのは

実際に本人が言う勤務年数と、

インターネットで模範生として

出身専門学校のパンフレットに載っている

年度が違っていたことでした。

それが、私とそれほど変わらない勤務年数を

言っていたのに、

実は私の後輩よりも短かった。

短いけど、知識量が

若い臨床工学技士にしては豊富だったので

信じてしまいました。

しかも、

私のいた病院は

看護師のレベルが

本当に低いんです。

20年勤めた先輩ですら

透析についての知識に不足があるのだから。

私も含めて

知識に未熟な部分がだいぶあったことは

否めません。

そうしたことで

彼に騙されても、不思議ではありませんでした。

彼が来てから

私と他のスタッフのロッカーから

現金が消えるということが

起こり始めました。

私たちの病院は

ロッカーに鍵をかけなくても

なくなることは

今まで一度もありませんでした。

けれど、

何人か被害者が出始めました。

私ははじめ・・

彼だとは思いませんでした。

けれど

前の病院で

窃盗事件を起こしたこと、

鍵を忘れたときに

ピッキングで透析室の鍵を開けたこと、

様々な虚偽があったという事実が

彼が犯人だということを

疑わせました。

しかし、証拠がありませんでした。

指紋を取れば一発なのだけど

警察を病院が入れませんでした。

しかし、病院側もセキュリティ強化をしないと

何も対策を取っていないと言われてしまいます。

窃盗事件に対して

病院側は

対策として

透析室の前に

防犯カメラを仕掛けました。

防犯カメラを仕掛けた途端

透析室での窃盗事件はなくなりました。

しかし、彼は間もなくクビになりました。

決定的に彼が辞めることになったのは

透析室勤務のドクターの父親の形見の腕時計を盗んだこと。

彼とドクターがいる部屋で

ドクターが腕から外した瞬間を見計らって

盗んだ疑いです。

これも、証拠がありませんでした。

けれど、このドクターは

探偵を雇って、いろいろ調べて・・・

過去のこととかも調べて、

病院の経営者にクビにするように願い出たのでした。

カメラが仕掛けられたのは１階だけだったため、

透析室で窃盗が起こらなくなっている間

病棟で窃盗事件が起こっていたみたいです。

患者さんが

私に教えてくれました。

病院には、言わなかったみたいです。

教えてくれた透析患者さんも

被害にあったそうだけど

同じ部屋の人も

お金がなくなったみたいです。

でも、誰がとったのだかわからなかったため、

特に言わなかった人ばかりだったみたいです。

彼はなんの用があるのか知らないけれど

すーっと部屋に入ってくるのですって。

人がいると挨拶するんだけど

ほかの部屋も、なぜか回っているみたいだったそうです。

透析患者が多いから、透析中を狙っているみたいだった、と

言ってました。

言えばよかったのに、と言ったのだけど、

病院に言ってもしょうがないかなあ、って思ったそうです。

彼がやめてから、私にした話なので、

どうにも、こうにもしませんでした。

彼がやめてから

本院の透析室とは別に

透析棟が建ちました。

その透析棟には

防犯カメラが周り中についていました。

本院の玄関にも

防犯カメラがたくさん取り付けられました。

これで、何が起こっても

犯人が分かるはずです。

まずはじめに

病院の玄関のガラスが

割れてしまいました。

誰が割ったのか、カメラがなかったら

わからない。

だけど、

カメラがあってもわかりませんでした。

次に・・・なぜか、

夜中に

公衆電話が盗まれました。

警備員さんの目を盗んで

犯行に及んだそうです。

警備員さんの中には

決まった時間にぴったりに

巡回を始める警備員さんがいるようで

入院したことのある患者さんは、

1階でタバコを吸うので知ってました。

これも、防犯カメラがなかったら

犯人がわからない事件でした。

だけど、犯人はわかりませんでした。

この犯行は３度も行われたそうですが

防犯カメラがあるのにわかりませんでした。

その次に、

透析棟で男性更衣室から

財布がなくなるという事件がありました。

透析棟は防犯カメラだらけです。

こんなにあるのなら、

すぐにわかるはず。

だって、透析中の時間を狙った犯行なのだから・・・。

防犯カメラがなかったら

犯人はわかりませんでした。

だけど、あったのにわかりませんでした。

財布が無くなったという患者さんは

技士長に

防犯カメラを見せてくれと言いました。

室長は見せられませんの一点張り。

見たけど写っていなかった、と説明していました。

ところで、防犯カメラの映像は

どこで見られるのだろう、と思いました。

透析棟は１階に機械室とトイレ2つ、

透析室が２階と３階に1つずつ。

どこにも、ありません。

20台以上の防犯カメラ・・・

大きな部屋じゃないと見切んないですね。

でも、本院でも

そんな部屋はないんです。

それどころか、

カメラの周辺にそれらしい配線もないんです。

つまりは・・・ダミーカメラでした。

この病院はケチなんですね。

本当に・・・。

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ごまかそうとした病院ですから。

今の病院もそれは、同じですかね。

今だに、窃盗事件は起こっているそうです。

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