透析導入は絶対嫌だ。CHDFをやりながら、となりでHDを回しました。良い透析をして、家族と自分のためによく生きてください。

私がCHDFをHCUで回している最中に

うっ血性心不全で

運ばれてきた方がいらっしゃいました。

腎機能がもう、残り少なく・・・

CHDFのついでに

HDも回してくれ、と言われて

透析を回したのですが・・・

なかなか、除水をしても

SpO2（酸素飽和度）は上がりません。

それどころか、

心電図に不整脈が混じり始め

心房細動になりました。

高濃度の酸素は流量が多いため

患者さん自身は圧迫感を感じます。

良くなったら、弱めていきます、と説明したものの

なかなか、難しいことになっていきました。

本人は

「私は今まで努力してきたから、

　他の人よりも回復は早いはずです。」と

おしゃっていますが、

普通に運ばれてくるうっ血性心不全の方よりも

遥かに状態が悪いと思いました。

青い数字がSpO２ですからね。普通は何もしなくても

97％以上あります。

風邪をこじらせて、

こうなった・・・という言い分ですが、

明らかに心機能が落ちていると思いました。

４時間の透析を行なったあと、

なんとか、SpO2は・・・

100％の酸素濃度を

リザーバーマスクで投与して、

97％くらいにまでになりましたが、

相変わらず心電図は不整脈が

入り混じっていて

不整脈の薬が投与されました。

次の日に、出勤してみて

ECUMを回したのですが、

おしっこは全然出てませんでした。

身体の中に溜まった水分は

透析でのみ排泄される・・・

そう言って間違いではない感じです。

本人は

「私には自信があります。

　頑張れるという気持ちがあるから

　おしっこもでると思うんです。」と・・・

おしゃっていましたが、

導尿されてるバッグの中には

微妙な量の尿しか溜まっていません。

CHDFと一緒に、ECUMで３.０kgこの日は

抜きました。

前の日に、３時間で１.９kg抜きましたから、

５ｋｇ抜きました。

透析が終わったあと

声がかすれてしまったようで、

透析はこれ以上やりたくない、と言っていました。

腎機能はもう、回復は望めないし

腎臓内科の先生や

循環器内科の先生が

透析導入したほうがいいですよ、という感じの

説明というか、説得というか、そんな話をしに来ました。

本人は

「暴飲暴食をしているような

　他のやつらは、透析なんかにはならないのに、

　どうして、俺が透析になんかなるんだよ・・・。

　バカ野郎・・・。」みたいなことを、言っていました。

「頑張ってきたので、このオシッコの管を抜いたら、

　出る気がするんです。あと、この部屋の・・・

　こんなところでは、寝られるわけがない。寝られませんよ。

　部屋を変えてください。部屋を変えて落ち着いたら

　オシッコが出ると思うんです」

　みたいな事を言っていました。

ECUMが終わってから、

循環器の先生の許可があって

車椅子でトイレに行きました。

オシッコの管は入ったままです。

大の方を出すために、行きました。

行ったのですが・・・

意識を失って、戻ってきました。

モニターを外していたので

不整脈なのか、起立性低血圧なのか、わかりませんけど。

ベッド上安静は、やっぱ必須でした・・・。

次の日。

HDの指示があったので、

透析の準備をしておきました。

けれど、本人が透析を拒否しました。

今日はちょっと待ってください・・・考えさせてください、

みたいなことを言い出しまして。

それで、家族と話し合ってください、ということになりました。

普通に、今のこの方の状態では

透析をしないでいれば

１週間で命がなくなると思います。

なんせ、心機能が極端に低いですから。

水が貯まれば、また苦しくなるでしょう。

肺も、良くないですし・・・・。

この方は

刺青が入っています。

そして、肝炎があります。

そして、高脂血症があります。

糖尿病があります。

高脂血症と糖尿病がある場合、

血管障害を起こす確率は

ものすごく高くなります。

心臓も、腎臓も脳も・・・その影響を大きく受けます。

気持ちがあっても

ちょっと、こればかりは覆らないと思います。

家族の方は、

皆がみんな、この方のことを心配して

涙してくれていました。

奥さんも娘さんも・・・みんな。

私はそれを見て、

｢生きるために透析を受けるべきです。｣

と伝えました。

「辛いことはあるかもしれませんが、

　奥さんも力になってくれるし、娘さんも協力してくれるなんて

　いいですね。

　透析を受ける方の中には

　一人で病気と闘っている人もいます。

　孫の成長を見届けるために行きたいのなら

　良い透析をして、よく生きてくださいね」と言いました。

　もちろん、長時間透析が良いことは念を押して

　伝えます。

　それでも、本人は納得しませんでしたが、

　おしっこの管を抜いて、

　おしっこが出ないのを見て、

　透析を受け入れたみたいです。

　よく生きるには

　長い時間透析をして

　きちんと栄養をとって

　しっかりと動いて生活することが大事です。

　それには、筋肉が大事だということも

　伝えました。

　まあ・・・伝わったかはわかりませんけど。

　それはともかく、まずは心臓カテーテルを

　やらないといけないですね。

　良い透析をして、

　自分と家族のために生きてもらいたいです。

　今までの、腎不全の保存期よりは

　透析導入した食事の内容は

　かなり緩いもんですから

　びっくりするかもしれませんよね。

　血糖値のコントロールと高脂血症も

　なんとか治療して欲しいですけど。

　タンパク質は、間違っても落とさないで

　リンやらカリウム、水分に気をつけて頂ければ、幸いです。

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